米国では片頭痛患者さんはかなりの数にのぼり、女性の18%、男性の6%が片頭痛を有し、特に若年~中年で有病率が高いとされています。
今回、片頭痛は特定の食物、アルコール、ストレス、ホルモンなどの誘発因子により引き起こされるが、環境因子も頭痛の誘発因子となりうるか否かを検討した論文が発表されました(Neurology(2009; 72: 922-927))。
今回の研究では、高気温が激しい頭痛を誘発し、これよりも関連性は弱いが、低気圧も頭痛リスクを上昇させることがわかりました。気温より、むしろ大気汚染物質、気圧、湿度が関係していると考えていましたが、この結果は意外でした。
詳細はコチラ→
研究デザインはケースクロスオーバー法とした。大気汚染物質(微小粒子状物質、黒色炭素、二酸化窒素・二酸化イオウ)濃度と気象変数(気温、気圧、湿度)などの環境因子を受診前の3日間と受診後の1週間(ただし同月内に限る)で比較し、これらの因子が激しい頭痛を誘発するか否かを検討した。対象は、2000年5月~07年12月に同医療センター救急治療室を受診し、1次診断が頭痛であった患者7,054例。環境因子の測定には気象・大気汚染物質モニターを用いた。
検討された環境因子のうち頭痛の症状と最も密接に関連していたのは受診前24時間の気温で、5℃上昇するごとに重度の頭痛リスクが7.5%上昇した。それより関連性は弱いが、受診前48~72時間の低気圧も片頭痛以外の頭痛リスクを上昇させた。大気汚染物質が頭痛の症状に影響するエビデンスは得られなかったが、脳卒中で既に認められている程度の若干の影響は否定できなかった。