カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)片頭痛センターのPeter J. Goadsby所長らは、薬剤の代わりに小型神経刺激装置を用いる新しい治療法によって、持続性片頭痛による痛みが6例中4例で80~95%軽減できたと発表しています(Lancet Neurology(2008; 7: 1001-1012))。
片頭痛に使用される医薬品の多くは、副作用が強いため、使用を制限するか断念せざるを得ません。そこで片頭痛の治療に対して刺激装置を使うことでジレンマを解消しようとする試みです。片頭痛は若い女性がおおく、電極を埋め込みことに抵抗があるのではないでしょうか?
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→Bionと呼ばれるこの装置は、充電式バッテリー駆動の電極で大きさはマッチ棒程度。後頭神経付近に埋め込み、そこから発生する電気パルスを神経が受信 することで片頭痛が軽減される。スイッチのオン・オフは外部の無線リモコン装置から操作できます。
平均13.5か月(範囲6?21か月)のフォローアップ期間中、6例中4例が頭痛の改善レベルを80?95%と報告し、1例は30%の改善、1例 は20%の増悪を報告しました。また、同フォローアップ期間終了後、6例中5例が持続性片頭痛患者にこの装置を推奨したいと思うほどの確かな効果を報告しました。 同様の結果は、2007年に持続性群発性片頭痛患者を対象とした別の2つの研究チームからも報告されています。
全体としては、bion療法によって参加者の片頭痛が改善されただけでなく、4か月目にbionのスイッチをオフにした1か月間では片頭痛が悪化していました。さらに、提出された日記から、疼痛スコアも総合的に5~8ポイント低下していることが明らかになりました。