片頭痛発作に対する新規治療薬telcagepantの有効性が臨床第III相試験で確認されたと、欧州と米国の共同研究グループが発表しました(Ho TW, et al. Lancet 2008; 372: 2115-2123.)。
Telcagepantは、片頭痛の病態生理に関係すると考えられるカルシトニン遺伝子関連ペプチドの受容体に対する経口拮抗薬です。
片頭痛発作の治療に広く用いられているセロトニン作動薬のトリプタン系薬とは異なり、血管収縮作用がないため心臓発作などの副作用がないとされています。
telcagepant 300mgの有効性はゾルミトリプタン5mgと同等で副作用が少なく、片頭痛の急性期治療に効果があると報告しました。
さて、今後は実際の臨床投与での副作用や長期服用の問題点のデータの蓄積が待たれるところです。
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→第III相試験の対象は、国際頭痛学会の基準で片頭痛と診断された成人1,380例。中等度?重度の発作の治療にtelcagepant 150mg(333例)または300mg(354例)、ゾルミトリプタン(345例)、プラセボ(348例)のいずれかを服用する群にランダムに割り付け た。主要評価項目は、治療2時間後の頭痛の消失、緩和、随伴症状である光過敏、音過敏、悪心の解消とした。
その結果、telcagepant 300mg群はプラセボ群と比べ、頭痛の消失(27%対10%、P<0.0001)、頭痛の緩和(55%対28%、P<0.0001)をはじめ、光過敏や 音過敏、悪心の解消のいずれにおいても有意に有効であった。telcagepant 300mgとゾルミトリプタン5mgの有効性はほぼ同等で、ともにtelcagepant 150mgより効果的であった。有害事象の発現率はゾルミトリプタン5mg群の51%と比べ、telcagepant 300mg群では37%と少なかった。