うつ病は、冠動脈性心疾患(CHD)を有する患者の心イベントと死亡の危険因子の1つです。
今回、抗うつ薬の使用が心臓突然死と関係する可能性があることを示唆するデータが、米コロンビア大学などのグループにより発表されました。(Journal of the American College of Cardiology Whang W, et al. J Am Colle Cardiol 2009; 53: 950-958.)
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またうつに陥ると運動をしない、食習慣が乱れるなどのライフスタイルが定着することも一因となっているでしょう。内臓脂肪の増加が慢性炎症疾患を起こしますので、うつ病は様々な慢性病と関わることは不思議ではありません。
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→Nurses' Health Studyの参加者でCHDのない女性を対象に、抑うつ症状および臨床的うつ病の代理指標(重度の抑うつ症状、抗うつ薬の使用)と心イベントとの関係を検 討しました。抑うつ症状をMental Health Index(MHI-5)により1992年、96年、2000年に、抗うつ薬の使用を96年と2000年に評価しました。
1992年にCHDと脳卒中の既往がなかった6万3,469例のうち7.9%がMHI-5スコア53未満で臨床的うつ病と推定された。抑うつ症状 (MHI-5スコア53未満)はCHD、特に致死的CHDと関係し、CHDの危険因子を調整後も有意であった〔ハザード比(HR)1.49〕。
1996年以降の解析では臨床的うつ病の代理指標が心臓突然死と最も強く関係し(HR 2.33)、このリスクはおもに抗うつ薬の使用と心臓突然死との特異的な関係によるものであった(HR 3.34)。