子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染によって引き起こされる微小な細胞変化を契機として段階的に発症します。細胞変化は進行し、悪性化することがあるため、未治療では長期的に子宮頸がんを発症させます。
高度の細胞変化は子宮頸部の一部を外科的に切除(円錐切除)して治療されますが、この婦人科手術はその後の妊娠 で早産リスクを高めるのが問題となっています。
Oestfold病院(フレドリクスタッド)のKatrine D. Sj?borg博士とノルウェー公衆衛生研究所(オスロ)およびAkershus大学病院(Loerenskog)のAnne Eskild教授は、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種がもたらす利益を算出しました。
その結果、HPVワクチンは子宮頸がんの前段階を予防できるため、早産 を減らせる可能性があると発表しています(Acta Obstetricia et Gynecologica Scandinavica(2009; 88: 255-260))。
この研究では欧州と北米の数値が用いられました。その結果によると、妊婦の2%が円錐切除を受けていると仮定した場合、出生10万人中60~220人の早産が外科治療によって引き起こされます。HPVワクチン接種率が90%であれば、早産のほぼ60%を予防できることから、出生10万人中35~128人の早産が防げます。妊婦の4%が円錐切除を受けていると仮定すれば、出生10万人中70~257人の早産が防げることになるという計算です。
ワクチンで手術を回避することができるメリットを説いた論文です。