SLE、多発性筋炎、血管炎、関節リウマチ(RA)などの膠原病や1型糖尿病などの慢性炎症疾患で、免疫系が自分の身体を攻撃する自己免疫疾患を有する人では、まれな遺伝子変異がより多くみられることが、新しい研究によって示されました(Nature(ネイチャー)オンライン版6月16日)。
シアル酸アセチルエステラーゼ(SIAE)と呼ばれるこの酵素は、免疫系のB細胞を制御します。B細胞は、異種蛋白(たんぱく)であるウイルスや細菌、その他の侵入物と戦う抗体を産生する白血球です。この酵素がB細胞を制御できなければ、これらは誤って身体の健康な細胞を攻撃する可能性があります。
今回の研究では、一般的な自己免疫疾患患者923例とそのような疾患のない対照群648例の遺伝子構造を比較しました。その結果、自己免疫疾患群では24例に酵素を阻害する遺伝子変異が認められましたが、対照群では2例にしか認められませんでした。
しかし、この遺伝子変異は自己免疫疾患の症例の約2、3%を占めるに過ぎません。遺伝子変化そのものより、環境因子も含めた遺伝子外(エピジェネティックス)の研究に重点を移してほしいものですね。