第51回日本リウマチ学会で、新しい生物学的製剤アバタセプト(abatacept)についての現状報告がありました。この薬は米国食品医薬品局(FDA)で既に承認され、日本では臨床試験中です。関節リウマチ(RA)では,白血球(リンパ球)のT細胞(effector T cell)が活性化されていることが知られています。これはウイルス、細菌などなんらかの外来異物が抗原として感染していることの傍証です。
今回のアバタセプトは、抗原を取り込み、それを他のリンパ球に知らせる抗原提示細胞とのT細胞との結合を阻害する薬剤です。
関節リウマチに対するアバタセプトの成績をまとめると、単独投与での効果、メトトレキセート(リウマレックス)との併用、関節破壊への抑制効果、今までの生物学的製剤(TNF阻害薬)無効果例に対して治療効果があったというものです。
しかし今までの生物学的製剤(TNF阻害薬)との併用では、重症感染症などの有害事象が高くなるので勧められないという報告です。関節リウマチに対する効果・副作用については、これからさらなるデータの集積が望まれます。