甲南病院加古川病院リウマチ膠原病センターの田中泰史氏らの研究で、94人の慢性関節リウマチの患者さんに対してメトトレキサート(MTX:商品名リウマトレックス)を5年間、投与を続けた前向き研究の結果が第51回日本リウマチ学会(2007年4月27日)で報告されました(他の抗リウマチ薬を併用していない94例について、ACRコアセットとmodified Sharp法によるX線評価を実施)。
関節リウマチの臨床症状や所見などは投与開始の初期に大きく改善し、その後も緩やかな改善が続いたようです。しかし、関節リウマチのX線評価による骨びらんと関節裂隙狭小化は期間中、進行し続けました。本研究におけるメトトレキサート(MTX)治療では、関節リウマチの骨破壊を食い止められなかったことが判明しました。
つまり、抗がん剤であるメトトレキセートをもってしても、消炎鎮痛剤同様、症状の改善ははかれるものの、リウマチの進行は止めることができないという重要な事実が報告されたのです。今度は、生物学的製剤の関節リウマチの骨破壊に対する長期的な効果についても同じ研究が必要とされます。