現在、リウマチと診断する血清学的検査でリウマトイド因子(IgM-RF)や抗CCP抗体が一つの指標となっています。
一方、関節リウマチの病気の進行を反映する血清学的検査では、MMP-2やCRP(C反応性蛋白)があります。このCRPがリウマチの診断指標となりうるかという臨床試験(といっても追跡試験ですが)がなされ、その結果が報告されました(Arch Intern Med 166 , 2006)。
この結果、CRPの値が高いからといってリウマチの発症のリスクが高いという結果は得られなかったようです。
結局は、リウマチと診断するには、リウマトイド因子(IgM-RF)や抗CCP抗体に加えて、関節の画像診断なども組み合わされる必要があるということです。もちろん、医師の経験によるものも大きいでしょう。
疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)を服用中の慢性関節リウマチ(RA)患者で、主にコルチコステロイドを過去に使用した患者さんは、結核のリスクが上昇しているという研究結果が、『Clinical Infectious Diseases』(2006)で報告されました。
この研究では、結核になる他の因子を考慮に入れていないという不備を認めていますが、著者らは関節リウマチに対する免疫抑制治療そのものが、結核のリスクを上げると推測しています。
関節リウマチの治療で高い効果が知られる「生物学的製剤」(日本ではインフリキシマブ、エタネルセプト)が、悪性リンパ腫など、がんのリスクを高める可能性が指摘されています。2006年日本リウマチ学会では長期の安全性調査に取り組むことを決めました。
「TNF」という信号物質の働きを阻害する生物学的製剤は、2万人ほどが使っています。これらの薬をめぐっては、がんのリスクが約3倍高まるという米英グループの新たな報告が米医師会雑誌(2006)に掲載されました。
しかし一方で「関節リウマチ自体ががんのリスク要因」との報告もあり、結論は出ていません。今後、日本での「生物学的製剤」の使用の長期結果が待たれるところです。