現代の先進国では、女性の不妊症がますます増加し、第1子の出産年齢が高くなっています。不妊症の解消のため、排卵誘発薬を使用する際に発生する卵巣がんリスクを看過できないものがあります。
実際、過去30年間にわたり、排卵誘発薬の使用が女性の卵巣がんリスクを増加させるか否かについて活発な議論が行われてきました。過去最大規模の不妊症の女性に対する集団データを用い、排卵誘発薬が卵巣がんに与える影響を調べられ、排卵誘発薬の投与は不妊症の女性の卵巣がんリスクを増加させないことが発表されました(BMJ(2009; 338: a249))。
ただし、参加者の多くは卵巣がんの発現がピークになる年齢に達していないため、今後の経過を見ていかないと、卵巣がんリスクが増加しないとはいえないとしています。
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→今回の研究には、不妊症で1963?98年にデンマーク全国の不妊治療クリニックに紹介された5万4,362例の女性が含まれた。このうち156例は卵巣がんに罹患した。複数の危険因子に対する調整を行った後、平均16年間にわたり4グループの排卵誘発薬の影響を評価した。
その結果、いずれの排卵誘発薬も卵巣がんの総体的リスクを増加させないことがわかった。また、10回以上の治療サイクルを経験した女性と妊娠に成功しなかった女性はいずれもリスクが増加しなかった。
ただし、クロミフェンを使用した女性群では、最も一般的で重篤なタイプの卵巣がんリスクが有意に増加した。この原因は不明のようです。