炎症性乳がんの予後は非炎症性乳がん比べて悪いことがこれまでに実証されています。テキサス大学MDアンダーソンがんセンター(テキサス州ヒューストン)乳房腫瘍学科のMassimo Cristofanilli准教授らは、乳がんに罹患した女性が過体重または肥満の場合、乳がんはより攻撃的で患者の生存率も低いとの知見をClinical Cancer Research(2008; 14: 1718-1725)に発表しました。
局所進行性乳がんの女性606例をBMIにより正常/低体重(BMI 24.9以下)、過体重(同25?29.9)、肥満(同30以上)の3群に分類して検討していました。その結果、5年生存率は、肥満群56.8%、過体重群56.3%、正常/低体重群67.4%で、10年生存率は、それぞれ42.7%、41.8%、56.5%でした。
炎症性乳がんの比率は、過体重群の30%と正常/低体重群の15%に対して、肥満群では45%と高いという結果でした。
また、乳がん再発リスクも肥満群または過体重群で高く。5年以内の再発率は、正常/低体重群の38.5%に対して肥満群では50.8%で、10年以内の再発率は、正常/低体重群の45.4%に対して肥満群では58%でした。
つまり、肥満は炎症性乳がんの比率が高く、再発しやすいという結果でした。脂肪組織に炎症を悪化させ、癌化を促進する役割があると考えられます。
タモキシフェンなどの乳がんで使用される抗がん剤は、体重増加の副作用があります。これは炎症を悪化させるので、特に体重コントロールが必要となるでしょう。