ヒトの脳内に入り、将来的にアルツハイマー病やパーキンソン病(PD)など認知症を引き起こす神経変性疾患の発症に関与する可能性がある高病原性のH5N1型トリインフ ルエンザウイルス株を同定したことが報告されました(Proceedings of the National Academy of Sciences, USA(PNAS、2009; 106: 14063-14068)。
インフルエンザのパンデミック後に神経系疾患や脳症が集団で発生することがあります。今回の論文では、H5N1型ウイルスがマウスの脳内に侵入し、振戦、運動障害、脳細胞減少などパーキンソン病の特徴的な症状を引き起こすことが判明しました。
ウイルス感染によって、慢性炎症が引き起こされる結果、パーキンソン病やアルツハイマー病などを特徴付ける蛋白質凝集が起こると推定されています。認知症は慢性炎症疾患の代表であることが分かりますね。