鉛中毒は痛風や高尿酸血症を引き起こすことが知られています。米スタンフォード大学による米国保健栄養調査(NHANES)のデータを用いた解析の結果、鉛への曝露が基準値以内であっても濃度に依存して痛風、高尿酸血症のリスクを上昇させていたことが論文報告されました(Ann Intern Med 2012; 157: 233-241)。
鉛といえば水道管からの漏出の問題があり、鉛も複合汚染の一端を担っているのです。
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→米国の一般市民を対象とした断面調査研究NHANESの2005~08年のデータから、40歳以上で推算糸球体濾過量(eGFR)が10mL/分/1.73m2以上の6,153人を解析対象とした。
BLLを1次曝露変数とし、自己申告による痛風および血中尿酸値を評価した。さらに、身体計測値、血圧、食事によるプリン体摂取、薬の使用、病歴、血中クレアチニン濃度のデータを集めた。
痛風罹患者は6,153人中290人で、痛風ありの方がなしと比べてBLLが高かった(2.64μg/dL対1.95μg/dL,P<0.001)。BLLによって参加者を4群に分けると、痛風の罹患率は、最低四分位群(BLL 0.18~1.20μg/dL,平均0.89μg/dL)の1.76%(95%CI 1.10~2.42)に対し、最高四分位群(同2.60~26.80μg/dL, 3.95μg/dL)では6.05%(同4.49~7.62)だった。血清尿酸値もBLLが高い群ほど高値を示した。
調整前オッズ比は、BLLが2倍になるごとに、痛風では1.74(95%CI 1.47~2.05)、高尿酸血症では1.25(同1.12~1.40)上昇した。
BLLの最低四分位群と比べた調整後のオッズ比は、痛風、高尿酸血症ともにBLLが高い群ほど上昇し、最高四分位群では痛風3.62(95%CI 2.10~6.25)、高尿酸血症1.85(同1.34~2.56)だった。BLLが基準値の20分の1の第2四分位群でも有意なリスク上昇が認められた。
なお、腎機能の低下のないeGFR 60mL/分/1.73m2以上に限って検証した場合も、鉛の曝露による痛風、高尿酸血症のリスク上昇は顕著であった。