喘息患者のビタミンDの状態が吸入ステロイド薬(ICS)の治療効果に影響し、欠乏患者では肺機能の改善度が低いことがと、米ハーバード大学のグループによって論文報告されました(Am J Respir Crit Care Med 2012; 186: 508-513)。
今回、小児の持続性喘息患者1,024例を対象とした前向き研究で、ビタミンDの状態がICS療法による肺機能の改善にどのような影響を与えるかを検討しています。患者を血清25-ヒドロキシビタミンD値により充足群(30ng/mL超)、不足群(20〜30ng/mL)、欠乏群(20ng/mL未満)に分類しました。
663例(65%)がビタミンD充足群、260例(25%)が不足群、101例(10%)が欠乏群でした。欠乏群は充足群、不足群と比べて年長でアフリカ系米国人が多く、BMIが高い傾向が見られました。これは、ビタミンDが慢性炎症を防ぐ効果がもち、メタボリックシンドロームを予防する働きがある事実を裏付けるものです。
年齢、性、人種、BMI、治療、救急受診と入院歴、ビタミンD値を測定した季節を補正しました。その結果、ICS療法を受けた患者の登録時と比較した12カ月後の気管支拡張前1秒量はビタミンD充足群が290mL、不足群が330mLの増加を示したのに対し、欠乏群では140mLの増加にとどまり肺機能の改善度が低い結果でした。
ビタミンD欠乏ではそもそも慢性炎症を起こし、あらゆる病気にかかりやすくなります。また治療効果も低いというのは今回の論文報告のとおりです。ビタミンDはわたしたちのベースにとって必須の栄養素なのです。