日勤夜勤などのシフト勤務者が肥満や糖尿病になりやすいことが知られています。今回、21人の健康人を研究所に滞在させ、3週間にわたって睡眠を制限、概日リズムを障害したところ、血中インスリン値が低下し、血糖値が上昇。参加者の一部は前糖尿病状態を示したことが論文報告されました(Sci Transl Med 2012; 4: 129ra43)。
よくこのような実験に参加する物好きがいるものですね。さすがはお金のためなら何でもするアメリカならではの実験です。
研究参加者はまず家で3週間、1日10時間ベッドに入り、その後うす明かりの研究所に滞在し、睡眠、食事と運動を管理されました。最初の6日間は1日10時間以上、続く3週間は28時間周期で6.5時間(1日当たり5.6時間)、最後の9日間(回復期間)は1日10時間ベッドに入りました。
プロトコルを完了した若年者11人(平均年齢23±2歳、5人は女性)、高年者10人(同60±5歳、5人は女性)のデータを分析しました。その結果、年齢グループにかかわらず、3週間の睡眠制限後、研究所入所時(ベースライン)に比べ空腹時血糖、食後血糖の有意な増加と血中インスリンの減少が認められました。
ベースラインと比べ、空腹時血糖は+8%(P=0.0019)、食後血糖最高値は+14%(P=0.0004)、食後90分間の血糖ROC曲線における曲線下面積(AUC)は+15%(P<0.0001)でした。
空腹時インスリンは−12%(P=0.0064)、食後インスリン最高値は-27%(P<0.0001)、食後90分間のインスリンAUCは−27%(P<0.0001)となりました。
参加者中3人の食後血糖は、前糖尿病に相当するレベルでした。しかし、回復期間の後、血糖とインスリンは若年グループ、高年グループともほぼベースラインのレベルに戻りました。
安静代謝率(RMR)についても、睡眠制限後に−8%となりましたたが、回復期間後ほぼ元に戻りました。RMRが8%低下すると、体重が1年当たり5.7kg増加すると見積もっています。
当直夜勤、日勤のある仕事に従事している方はくれぐれもご注意を。