喫煙をせず,過体重でなく,定期的な身体活動を行い,野菜を食べるなどの健康的なライフスタイルは,心不全リスクを有意に低下させることが論文報告されました(Circulation: Heart Failure(2011; 4: 607-612)。
上記のような健康的なライフスタイル因子が1つでもあると心不全リスクが減少し,1つ増えるごとにリスクの低下度も大きくなる結果が得られています。
これまでの研究により,男性では健康的なライフスタイルと心不全リスク低下との関連性が証明されていました。今回の研究は,女性でも同等の関連が認められることを初めて示したものです。
今回、25~74歳のフィンランド人男性1万8,346人と女性1万9,729人の追跡調査を実施。中央値14.1年の追跡期間中に男性638人(3.5%),女性445人(2.3%)が心不全を発症しました。高血圧,糖尿病,心筋梗塞既往歴など心不全の危険因子で調整後,喫煙,体重,身体活動,野菜の摂取などのライフスタイル因子が被験者に及ぼす影響を検討しました。
その結果,以下の結果が得られました。
さらに,健康的なライフスタイル因子の項目が多いほど,リスクの低下度も大きいことが確認されました。以上4項目の健康的なライフスタイル因子のうちいずれか1項目のみに該当する人の心不全リスク低下は男性で32%,女性で47%でしたが,4項目の健康的なライフスタイル因子すべてを有していた場合,心不全リスクはそれぞれ70%,81%低下することが明らかになりました。
心不全は老化現象の一つです。心筋細胞のミトコンドリアが活性化するようなライフスタイルの改善によって、かなりの改善が実際に起こることが現代医学でもやっと証明されるようになったのです。