「子供は風の子、大人は火の子」といいます。小児の活発な運動は抵抗力を高め、健康増進につながることは経験的にも分かっていますが、大人もよく運動するほど風邪をひきにくくなることが研究報告されました(Br J Sports Medオンライン版11月2日)。
米国の統計によると、1年間にかかる風邪の平均回数は成人で2~4回、小児では6~10回で、米経済に与える影響は400億USドルに上ると見積もられています。日本ではどうでしょうか?米国の半分くらいではないでしょうか。
18歳以上の成人を対象とした研究で週5日以上運動する人では、ほとんど運動しない人に比べ風邪(上気道炎)の程度が軽い(罹患期間が半分)という結果が出たようです。
風邪の発症には免疫機能の低下や感染リスクを低下させるストレスや睡眠不足などさまざまな要因が関連すします。運動が免疫低下を抑制し、風邪の罹患リスクを下げることが報告されており、動物実験やもともと運動をしない人を対象とした運動介入試験などで裏付けが得られています。
そういえば、毎日運動している時期には、風邪に寝込むことは数年ありませんでした。運動が体温を上げたり、白血球の機能を高めたり、細胞のミトコンドリアの機能を強化したりして、抵抗力を上げてくれるのですね。定期的に運動していれば、インフルエンザの予防接種などを受ける必要はまったくないでしょう。
研究の詳細はコチラ
→風邪に関する健康関連項目の評価を目的とした地域データベース(Wisconsin Upper Respiratory Symtom Survey;WURSS)による検討が行われました。
追跡開始の2週間前に、18~85歳の男女1,002例(女性60%、男性40%)に対し、運動回数とその強度を10ポイントのスケール(Likert scale)で自己評価してもらったほか、食事や最近感じたストレス、生活習慣など免疫機能にかかわる因子を調査、回答を集めました。
調査後、週5日以上の有酸素運動を行っていた人(215例)では、12週の間に風邪に罹患した日数がほとんど運動しない(週1日以下、341例) 人に比べ43%有意に減少していました(P<0.05)。健康に対する自己評価(physical fitness)が高い人でも、同罹患日数は低い人に比べ46%の有意な低下が確認されました(P<0.05)。
さらにこれらの人では、風邪の重症度スコアおよび症状スコアも32~41%と大幅に低下していました。以上はすべて年齢、教育レベル、結婚、性、スト レスレベル、BMI、果物の摂取状況を補正して得られた値だといいます。なお、加齢、男性、既婚は風邪の発症回数減少と関連が見られていましたが、健康への自己評 価の高さと運動回数が最も有意な関連を示したということです。