現在、ヘンリー・フォード病院(ミシガン州デトロイト)放射線腫瘍科のEleanor M. Walker医長らにより、乳がんと前立腺がんの患者への「運動とがんの統合治療教育」(ExCITE)というプログラムを用いた研究が進行中で、その経過報告が2010米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次集会で報告されました。
疲労や嘔気など抗ガン剤の副作用に悩まされている患者さんにとっては吉報です。
今回の研究は35~80歳の乳がん患者さん30例と前立腺がん患者さん20例を対象とし、全員がExCITE開始時に新たに診断を受けました。また、研究期間は、患者の治療中~治療後1年間としました。
このプログラム開始前に、被験者は同院の心疾患予防科で運動能力、骨格筋力、持久力の測定と血液検査、基礎代謝診断、骨密度、炎症バイオマーカーの検査を受けました。また、治療前の運動許容量、体重、全体的な健康状態、治療を受けるがんの種類に合わせた適切な運動と食事が提示されました。
がん治療の結果、火照り、悪心・嘔吐、不眠症、末梢神経障害を訴える患者さんには鍼治療を行っています。
ミシガン州グロスポインテパークのCheryl Fallen氏は、乳がんの化学療法を受ける一方でExCITEプログラムにも参加しています。運動と鍼、適切な栄養摂取を組み合わせた結果、嘔気、疲労、記憶障害といった一般的な治療の副作用は認められなかったようです。
さらに、白血球数が化学療法で減少した際は、自宅でバンドエクササイズを行ったり、屋外でウォーキングをしたりしました。また、体調がよいときは、トレッドミルを使ったり、ジムでボールエクササイズや体力トレーニングを行ったりしました。同氏は、このプログラム体験に手応えを感じ「このプログラムは生活を 快適にしてくれる。がん患者にとっては大きな支援で、このプログラムにより私は治療期間中でも豊かな生活を送ることができた」と語っています。
現在、がん患者における運動の潜在効果を研究すべく、同プログラムの研究を続行しています。ガンそのものによる疲労感や医薬品の副作用による嘔気なども運動することで少しは解消されることは私個人のリハビリ施設での経験であります。身体を動かすことが希望を失わないことにもつながっていると強く感じました。