アスコルビン酸塩、つまりビタミンCの高濃度静脈内投与が抗がん作用を持つことをポーリング博士が主張したとき、医学会はそれを無視しました。
しかし、現在日本の治療家のなかでも、ビタミンCの高濃度静脈内投与でガンの治療を行っている方も増えてきました。
今回、米国立衛生研究所(NIH)、米国立糖尿病消化器腎疾患研究所のMark Levine氏らは、マウスに高用量のアスコルビン酸塩を静脈内投与したところ、腫瘍の増殖速度が半減したと発表しました(Proceedings of the National academy of Sciences USA,2008; 105: 11105-11109)。
ビタミンCの高濃度静脈内投与はほとんど副作用がない点で、有用性は抗がん剤をはるかに上回るでしょう。ちなみにビタミンCの効果は、癌細胞に対してフリーラジカル(活性酸素)となって攻撃するからです。癌細胞だけに特異的に働く原因は、正常細胞にはビタミンCの酸化作用に対する抗酸化作用が働いているからと考えられます。したがって、抗酸化作用の働きが悪い人には副作用は出る可能性はあるでしょう。
このようにガンを特許のとれないビタミンで治されたら、製薬業界は目も当てれませんね。
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→膠芽腫異種移植片を移植したマウスでリアルタイム微小透析サンプリングを行ったところ、薬理学的有効量のアスコルビン酸塩の単 回投与により、腫瘍の間質液中でアスコルビン酸塩ラジカルおよび過酸化水素の持続的な発生が選択的に起こり、血中では起こらないことが示された。
多種類の腫瘍を用いた試験では、腫瘍の容積が41?53%減少したが、それらの腫瘍のすべては増殖速度が速く、治療選択肢が限られていた。
また、薬理学的有効量のアスコルビン酸塩を毎日投与することにより、マウスに移植された卵巣腫瘍(P<0.005)、膵臓腫瘍(P<0.05)および膠芽腫(P<0.001)の増殖速度は有意に低下した。
膠芽腫モデルでは、アスコルビン酸塩は転移に関する抑制効果をもたらすことも示された。さらにアスコルビン酸塩を静脈内投与された患者で到達する血漿中アスコルビン酸濃度は、マウスで到達する濃度と同等である可能性が示された。
特筆すべきは、一連の既存データから、プロドラッグとしてのアスコルビン酸塩の非経口投与はヒトでは有益かつ無害である可能性が高いと示唆されている点である。例えば最近の第 I 相試験により、アスコルビン酸塩の静脈内投与は副作用を発生させないことが立証されている(Hoffer LJ, et al. Annals of Oncology 2008; 19: 1969-1974)。