緑茶を摂取することにより血管内皮細胞の機能が急速に改善されることが報告されましたEuropean Journal of Cardiovascular Prevention and Rehabilitation(2008; 15: 300-305)。
血管内皮機能の障害は、慢性炎症を引き起こし、最終的にアテローム動脈硬化症の進行に影響を与えます。
今回の実験では、緑茶,カフェイン,温水(プラセボ)をそれぞれ健康人に摂取させ,上腕動脈拡張径を測定するランダム化試験を行いました。測 定はそれぞれ30分後,90分後,120分後に行われました(上肢の虚血に続いて起こる血流増加の結果生じる上腕の拡張は,内皮機能と関連性があり,心血管疾患の独立した予測因子として知られています)。
試験の結果,緑茶を飲んだ後に上腕動脈内皮依存性血管拡張が顕著に上昇し,30分後の上昇は最高で3.9%を示しました。しかし,カフェイン(または温水) 摂取後には有意な効果は認められませんでした。
これは緑茶の慢性炎症に対する抗酸化作用(フラボノイド、カテキン)によるもので、カフェインではないことが明らかになっています。その他今までにもカテキンによる抗ガン作用、抗炎症作用も多数報告されています。
欧米では緑茶よりも紅茶を好んで飲みますが、紅茶は緑茶より抗酸化作用が弱いものです(紅茶は茶葉を酸化したものです)。しかしその紅茶でさえ血管の内皮機能を短期的にも長期的にも改善することが報告されてきました。
欧米の医学者が新鮮な茶葉から作った緑茶に魅力を感じるのは当然でしょう。
ただ、緑茶には有害なカフェインも含まれていますので、緑茶を大量に飲めばよいというものでもありませんので注意が必要です。