疾患別最新医学ニュース(更年期障害)10

閉経期移行中のホルモン環境変化:メタボリックシンドロームの罹患率高める

ラッシュ大学医療センター(シカゴ)のImke Janssen助教授らは、米国の女性949例を対象とした9年にわたる全国レベルの縦断的研究を実施し、「閉経移行期には次第にテストステロン優勢のホルモン環境になるため、加齢やその他の重要な共変量とは無関係にメタボリックシンドロームの罹患率が上昇することとArchives of Internal Medicine(2008; 168: 1568-1575)に発表しています。

Janssen助教授らは、最終月経期(FMP)の前後6年で、メタボリックシンドロームの罹患率が段階的に上昇したことを明らかにしました。

今回の研究では、加齢やCVD危険因子に関して調整した後でも、独立した有意のメタボリックシンドローム予測因子として、生物学的に利用可能なテストステロン値の上昇、あるいは性ホルモン結合グロブリン(SHBG)値の低下が認められた。今回得られた知見は、エストロゲン値の低下を伴う閉経の進行の結果、アンドロゲンが優勢のホルモン環境に次第に移行し、それによりメタボリックシンドロームリスクが高まるという仮説を提示しています。

閉経移行期は心身の変調をきたすことが多いですが、エストロジェンの低下以外にもテストステロンが何らかの関与をしている可能性が示唆されます。

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→同研究では、年間のメタボリックシンドローム発症オッズ比(OR)は、閉経周辺期で1.45〔95%信頼区間(CI)1.35?1.56〕、閉経後で 1.24(95%CI 1.18?1.30)であった。FMPまでに、被験者の13.7%で新たなメタボリックシンドロームの発症が認められた。

生物学的に利用可能なテストステロン値が1標準偏差上昇するごとに、メタボリックシンドローム発症のORが10%上昇した。また、SHBG値の1標準偏 差の低下ごとに、同ORが13%上昇した。総エストラジオール値や総テストステロン値とメタボリックシンドローム発症との間に有意な関連は認められなかった。

ウエスト周囲径は、加齢とともに増加し(BMIに関する調整後でもP<0.001)、閉経後はさらに促進された(P=0.04)。

また、HDLコレステロール値とトリグリセライド値が閉経周辺期に有意に上昇し、のちに安定化した。血糖値は加齢とともに全研究期間を通じてわずかながらも有意に低下した(P<0.001)。

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