疾患別最新医学ニュース(更年期障害)3

更年期障害、自律神経失調症状に対するホルモン補充療法(HRT)中止後3年間も癌リスクの上昇続く

閉経後の女性にエストロゲンとプロゲスチンの併用またはプラセボを投与して利益とリスクを比較したWomen's Health Initiative(WHI)試験は、ホルモン補充療法(HRT)のリスクが利益を上回ったため、追跡期間5.6年で早期中止されました。North Carolina大学Chapel Hill校のGerardo Heiss氏らの解析の結果、介入群の心血管リスクは低下していましたが、癌リスクの上昇は続いていることが示されました(JAMA誌2008年3月5日号)に。

WHI試験は、二重盲検の無作為化比較試験として、1993~98年に50~79歳の閉経女性1万6608人を米国内40施設で登録、結合型ウマエストロゲン(CEE)0.625mg/日と酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)2.5mg/日の併用群(8506人)、またはプラセボ群(8102人)に割り付けました。

8~9年後にリスク評価を行うよう設計されていた試験だったが、追跡期間の平均が5.2年の時点で、介入群に乳癌リスク上昇が認められた上に、心血管疾患、冠疾患、脳卒中、深部静脈血栓症のリスクも高いことが明らかになりました。介入によるリスク低減は骨折と大腸癌で見られたが、総合的な健康利益は示せませんでした。そのため早期中止されました。

今回の報告では、ホルモン補充療法の中止後もガンに関してはリスク上昇が続くことから注意を喚起しています。

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(今回の対象は、試験が中止されてから3年後(追跡期間の平均は2.4年)のアウトカムだ。中止後の追跡は2002年7月8日に始まり、1万5730人(介入群8052人、プラセボ群7678人)。

主要エンドポイントは冠動脈疾患と浸潤性乳癌に設定。Global index of risks and benefits(冠疾患、乳癌、脳卒中、肺塞栓、子宮体癌、大腸癌、股関節骨折と、これら以外が原因の死亡を総合して、発生率をプラセボ群と比較)も評価した。

試験期間中に介入群で上昇が見られた心血管イベントリスクは、中止後追跡の間にプラセボ群と同等になった。年率で介入群1.97%(343件)、プラセボ群1.91%(323件)で、ハザード比は1.04(95%信頼区間0.89-1.21)だった。深部静脈血栓症と肺塞栓も同様で、試験中に介入群に見られたリスク上昇は、中止後消失した。ハザード比は0.95(0.63-1.44)だった。

あらゆる癌のリスクは、中止後も介入群で有意に高く、介入群1.56%(281件)、プラセボ群1.26%(218件)でハザード比1.24(1.04-1.48)となった。ただし、試験期間中に介入群でリスク上昇が有意だった乳癌は、中止後も多かったが、差は有意にならなかった。介入群0.42%(79人)、プラセボ群0.33%(60人)、ハザード比1.27(0.91-1.78)。一方、試験期間中にリスク低減が見られた大腸癌については、中止後に利益が縮小し、ハザード比1.08(0.66-1.77)で有意ではなくなった。子宮体癌については、試験期間中、中止後の両方でリスク低減傾向が見られたが差は有意ではなかった。

また試験中に有意なリスク低下が見られた骨折リスクについては、中止後利益が縮まり、プラセボ群との間の有意差はなくなった。

中止後の全死因死亡は介入群でいくぶん高い傾向が見られたが有意ではなかった。1.20%(233人)と1.06%(196人)で、ハザード比は1.15(0.95-1.39)だった。

Global index of risks and benefitsについては、試験期間中は、介入群のイベント発生が876件、プラセボ群が736件で、ハザード比1.12(1.02-1.24)となり、中止後はそれぞれ468件と415件でハザード比は1.11(0.97-1.27)、両期間を合わせるとハザード比は1.12(1.03-1.21)になった。このことは、HRTのリスクは、治療中も治療中止後も、一貫して利益を上回ることを示している。)

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