緑茶の抽出物質が口腔癌の前癌病変である白斑症の患者さんの半数以上に口腔癌の進展を防ぐ可能性があるという結果がテキサスのMDアンダーソンガンセンターより報告されました(Cancer Prevention Research, November 5, 2009)
米国では35,720人が口腔癌あるいは咽頭がんと診断されていますが、5年生存率は50%以下です。
口腔白斑症は口腔内の慢性炎症(口内炎)によって起こる粘膜病変です。口腔癌の前癌病変です。
41人の白斑症の患者さんが2002年8月から2008年の3月の間、ランダムに緑茶の抽出物とプラセボを投与されました。緑茶の抽出物の投与群は、3か月間、1日に3回それぞれ、500 mg/m2; 750 mg/m2 or 1,000 mg/m2 量を投与されました。効果を測定するために最初と12週間の口腔内の組織検査を行いました。
その結果、緑茶の抽出物は白斑症の患者さんに効果があったと同時に、抗血管新生作用があることが分かりました。
1,000 mg/m2 量を投与された群では、58.8%、500 mg/m2量を投与された群では36.4%、そしてプラセボ群では18.2%の臨床的効果が認められました。統計学的には有意という差は出ませんでしたが、組織検査では明らかな腫瘍を後退させる変化が認められました。
1,000 mg/m2 量を投与された群では不眠、イライラなどの副作用が認められる人がいましたが、毒性はいずれもありませんでした。
今後は、より多い集団でさらに長期間の経過観察研究をして効果を確かめる必要があると結んでいます。