軽度の発赤、白色苔癬、角化巣、口唇のびらんなどは、通常の口内炎ではなく、日光口唇炎の徴候の可能性があります。日光口唇炎は口唇に生じる日光角化症であり、喫煙者や日光浴を好む者に特に好発します。
日光口唇炎は扁平上皮がん(容易に他臓器に転移します)に移行する恐れがあるため、早期治療が不可欠とされています。
シャリテ病院(ベルリン)皮膚科・皮膚がんセンターのClaas Ulrich博士らは、痛み止めであるジクロフェナク(ボルタレン)を組織検査で光線口唇炎と診断された連続6例に対し、1日2回、6週間 にわたって塗布(3%ジクロフェナクを添加した2.5%ヒアルロン酸ゲル剤)しました。
6週間の治療後、4例が生検により完治と判定され、残り2例においても形成異常の部分的改善が認められました。また、美容的観点からも、総じてきわめて良好な成果が得られたといいます(Aktuelle Dermatologie(2008; 34: 67-71))。
これは口内炎がこじれると癌化する例です。光線口唇炎の場合、紫外線や喫煙といった発がん促進要因があります。それにもまして炎症を止める薬でガンが予防されたということは、慢性炎症がガンを引き起こす重要な因子であるということを如実に物語っています。