2009年11月30日、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会が開かれ、厚生労働省研究班による、2009-10シーズンのインフルエンザ罹患に伴う異常行動についての中間報告が行われました。
その結果、インフルエンザのほとんどが新型(A/H1N1)である09-10シーズンも、これまでの季節性と同様、抗インフルエンザ薬服用の有無を問わず若年者の異常行動(飛び降り、急に走り出すなど、制止しなければ生命に影響が及ぶ可能性のある行動)が既に151例報告されています。
リン酸オセルタミビル(商品名タミフル)と異常行動との関係について、2008年7月に公表された厚生労働科学研究廣田班の解析結果中間報告を再検討した岡山大疫学・衛生学分野の頼藤貴志氏らの研究グループが、新たな解析結果を報告しています。その結果は、廣田班の中間報告とは異なり、オセルタミビル使用者において異常行動の発現が有意に多いというものでした(Epidemiology 2009; 20: 619-21.)。
厚生労働省研究班(研究代表者:国立感染症研究所感染症情報センター長の岡部信彦氏)は、抗インフルエンザ薬の服用の有無にかかわらず発熱後2日以内に発現する症例が約8割を占めることから、タミフルなどの抗インフルエンザ薬と異常行動というより、インフルエンザ感染した若年者には異常行動の発現の可能性があると示唆しています。
本当にインフルエンザウイルスが脳に炎症を起こすのか疑問ですが、タミフルなどの抗インフルエンザ薬がその確率を高めることだけは事実のようです。