疾患別最新医学ニュース(医薬品の副作用)1

乳がんと前立腺がんの運動プログラム
抗がん剤副作用軽減によるQOL向上と疲労軽減に手応え

乳がんと前立腺がんの患者への「運動とがんの統合治療教育」(ExCITE)というプログラムを用いた研究が進行中で、その経過報告が2010米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次集会で報告されました。

がん患者さんに対する運動の効果を研究するに当たって、同院と同心血管研究所およびジョセフィン・フォードがんセンターの同僚と共同ExCITEプログラムを開発した。これは、治療中のがん患者さんに個別の運動プログラムを提供するもので、がん患者さんは同院のフィットネスセンターに通うか、 または在宅で治療中の各段階に見合った運動をする。

今回の研究は35~80歳の乳がん患者さん30例と前立腺がん患者さん20例を対象とし、全員がExCITE開始時に新たに診断を受けました。また、研究期間は、患者の治療中~治療後1年間としました。

このプログラム開始前に、被験者は同院の心疾患予防科で運動能力、骨格筋力、持久力の測定と血液検査、基礎代謝診断、骨密度、炎症バイオマーカー の検査を受けました。また、治療前の運動許容量、体重、全体的な健康状態、治療を受けるがんの種類に合わせた適切な運動と食事が提示されました。

がん治療の結果、火照り、悪心・嘔吐、不眠症、末梢神経障害を訴える患者さんには鍼治療を行っています。

ミシガン州グロスポインテパークのCheryl Fallen氏は、乳がんの化学療法を受ける一方でExCITEプログラムにも参加しています。運動と鍼、適切な栄養摂取を組み合わせた結果、嘔気、疲労、記憶障害といった一般的な治療の副作用は認められなかったと報告しました。

さらに、白血球数が化学療法で減少した際は、自宅でバンドエクササイズを行ったり、屋外でウオーキングをしたりしました。また、体調がよいときは、トレッドミルを使ったり、ジムでボールエクササイズや体力トレーニングを行ったりしました。

体力がゆるす限り、たとえば緩和ケア病棟でも身体リハビリを行うことで、抗がん剤やモルヒネなど麻薬鎮痛剤などの医薬品の副作用が軽減できる可能性があります。

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